岡田農園では、ナスを育てています。ナスは、手のかかる野菜だそうです。「どんなところに手がかかるんですか?」と聞くと、「大きくなり始めたナスにね、葉がさわると、傷になるの。だからナスが実ったところの下には、葉があってはだめ。全部取らんといかんのですよ。風通しもよくしならんで。」岡田農園のハウスの中にはずらっとナスが植わっていますが、たしかに、どの苗も下の方の葉が無くなっています。1つ1つの手作業の丁寧さが、夏につやっとしたきれいなナスを育てるポイントなんだそうです。「知らなかった!すごく手間がかかりますね。」と驚くと、「あんた、食べる係やろ?」「そうですね…。作ったことないです。」「でもなぁ、作る係も面白いのよ。やっただけのことはちゃんと返ってくるでね。さぼったらさぼったのがどっかに出るわなぁ。だからやることは山ほどある。」
こだわりについても教えてくださいました。「乳酸菌のたい肥を使うことやなぁ。乳酸菌が入ったたい肥を使うと、おいしい野菜ができて病気にならないって聞いて、そっから使っとる。皮が薄くて、柔らかい野菜ができるんやさな。」おいしいナス作りには、乳酸菌のたい肥がおすすめだそうです。
まだ苗の伸びきっていない6月の畑を見せてもらうことに。「気持ちよさそうやろ、葉っぱが。生き生きしとる。」ナスの苗を愛おしそうに見つめる岡田さん。ナスへの愛情が伝わってきます。岡田さんのナスの苗は1本から4本の枝を伸ばす、4本仕立てで育てていきます。しかし、四方に伸ばそうとすると、「気に食わんって、根性で戻ろうとする。ぜってぇそっちには行かんって頑張らはるやつもおる。」伸ばそうとした方と逆に伸びようとしている苗もありました。「見てみ、こいつはいじけとる。苗にも個性があるんやわなぁ。」
「農業の仕事に就いて、どうですか?」と聞くと、岡田さんは「面白いな。他の農家の人たちも面白いし。ナス(を育てる)仲間も多くて、やりがいが多くてやってる。毎日動くから健康になれるしな。」と話してくれました。力強い飛騨弁が、農業への熱い思いを伝えてくれます。「好きな仕事をしたほうがいいって。面白いことしにゃ。私たちは、楽しむしかない。楽しんだ方が勝ちですよ。」