約50品目、たくさんの野菜を育てているソヤ畦畑の森本さん。海外からやってきた在来種や固定種を中心に育てています。「まるごと食堂では、万願寺とうがらしと、すずピーマンを出します。9月の時期には、同じ野菜が緑色のと赤色のと2つの色で採れるんですよ。」
お話を聞くと、すずピーマンも万願寺とうがらしも、夏は緑色なんだそうです。しかし、秋になるにつれて、熟して赤く、味わいも深く甘くなるんだとか。「緑の爽やかさは、そのまま焼いて食べるとおいしいですよね。これが夏の味。秋になると、赤へ。赤色は辛そうに見えるけれど、甘いんですよ。見た目と味が反映しているんです。」暑い夏から涼しい秋へ、飛騨の気候の移り変わりが野菜の見た目にも味にもなって楽しめる、そんな素敵な野菜なんだそうです。
「どんなことにこだわって農業をしているんですか?」と聞くと、「自家採種といって、収穫した野菜から次に植える種を取りまた植えることを繰り返しています。スーパーでよく出ている流通にのる野菜は、野菜から種が採れないことが多いんです。うちの畑には、すずピーマンとか、変わった野菜が畑にたくさんありますが、変わっているから育てたいわけではなく、強い種をもち、この土地になじむ強い作物を探した結果、行きついたものを育てています。」飛騨に馴染んでいく野菜。すずピーマンや万願寺とうがらしは飛騨地域外から来た野菜ですが、採れた野菜から種を取り、その種がまた次の野菜を作り…いずれは飛騨に根付き、飛騨の野菜として名前が付いたらいいなと、森本さんは考えているそうです。
そんな森本さん、元々は野菜を使った料理屋で働いていたそうです。今は、野菜を育てながら、育てた野菜を使ったケーキを作り、その販売も行っているんだとか。白たまごという豆の伝承作物(飛騨地域で栽培され、食文化になじんでいる作物)を使ったパウンドケーキは、冬しか食べられない限定品です。「最終的には、野菜を売るだけでなく、体験してもらったり、食べるまでを楽しんでもらったり、そういうことができるといいな、と思いますね。」