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トマト栽培を通じた食育活動 

坪根邦一さん

食育活動に力を入れながらトマトを育てている坪根さん。実家の農業を継いで、この仕事に携わったそうです。「兄弟の中で誰かが継がんならんでなぁ。でも、飛騨はトマト作りには合っとる。いいトマトができるんや。あと、他の地域よりも涼しいで、秋まで採れるのもいいな。」45年も続けているトマト作りについて教えてくれました。

トマトは、リコピンとGABA(アミノ酪酸)という栄養素が豊富です。特に坪根さんの作るトマトは、「生命のトマト」と呼ばれるほど、2つの栄養素が多いそうです。「GABAはストレス緩和にも精神安定にも睡眠の質向上にも効果的なの。だから子どもに食べさせるといいんや。でも、GABAが含まれる量は採れる時期によって違ってなぁ。俺は、どうしたら増えるかの研究もしとる。トマトは元々涼しいところで採れる植物。だから暑いとストレスがかかる。ストレスがかかった方がGABAが多くなるで、夏に採れたトマトは最高や。あと、植物にとっては、葉を切られることもストレスやで、苗の下の方の葉は切るといいんや。」おいしいだけでなく、栄養価が高いトマト。こだわりと手間で「生命のトマト」ができあがっていきます。

「農薬を少しでも減らしたい」という坪根さん。長年の研究の中でなんと、自作の自然農薬を作ることにも挑戦しているそうです。「野ブドウを焼酎と酢で漬けて、それをブレンドしてな、そこにドクダミやにんにくを入れて作ったものを使うんや。自然の薬草農薬やな。これを使うと、虫がつかんのやさ。」

「農業をやっていて、好きな風景は?」という質問には「作物がわーっと並ぶ風景やな。」と答えてくれました。「トマトの収穫前、たくさんトマトが生っとる風景は絶景やな。保育園でも、鉢がずらっと並んでな、ミニトマトのカーテンやさ。あれ見たら、なんじゃこりゃって思うぜ。」ご自身の畑も、保育園の鉢もこだわりと愛のつまったトマトが並ぶ風景が見られるのだろうと思います。